徹底解剖図画工作の教科書 No.01 「図画工作をはじめよう」その1

このコーナーでは、令和2年4月から使用されている日本文教出版の「図画工作」の教科書について

できる限り分かりやすく紹介していこうと思います。

第1回は「図画工作をはじめよう」です。

 

令和2年度版「図画工作」5・6下p.5-6
令和2年度版「図画工作」5・6下p.5-6

「図画工作をはじめよう」は、各巻折り込みの次のページに設定されている、いわばオリエンテーションのページです。

ここには、図画工作の学習の中で何を学ぶか、どのように学ぶかがかかれています。

 

 

・図画工作の特徴(造形的な見方・考え方)について

・学習のめあて(資質・能力)について

・どのように学ぶかについて

・保護者の方へのメッセージ

 

順を追って説明します。

 


造形的な見方・考え方について その前に

学校で学ぶ教科等には「学習指導要領」というものがあり、小学校では令和2年4月から新しい「学習指導要領」での授業が全面実施されています。

 

学校教育では、子どもたちの「資質・能力」を育成するのが目的の一つなのですが新しい学習指導要領では、「資質・能力」は三つの柱に整理されました。「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」です。

 

だったらどの教科等でも同じことをするのか?というともちろんそういうことはありません。

それぞれ独自性や特徴があります。

それを「見方・考え方」といいます。

算数や数学であれば「数学的な見方・考え方」図画工作や美術であれば「造形的な見方・考え方」

と呼ばれています。

 

つまり「造形的な見方・考え方」でもって3つの「資質・能力」を育成するのが「図画工作」「美術」である、ということです。

造形的な見方・考え方とは

「造形的な見方・考え方」は「学習指導要領解説」というもので以下のように示されています。

 

「感性や想像力を働かせ、対象や事象を、形や色などの造形的な視点で捉え、自分のイメージをもちながら意味や価値をつくりだすこと」

 

少し分かりにくいかもしれませんので、簡単な例を。

信楽焼の器があったとします。

「信楽焼は地域の産業としてどう位置付いているんだろう」というのは社会科的な見方考え方

「体積はいくらだろう」は数学的な見方考え方

「土は何で焼くと固くなるんだろう」は理科的な見方・考え方 

で、その器を見ている、ということになります。

 

 

そして

・この形きれいだなぁ

・手にフィットして持っていて気持ちいいなぁ

・模様が雪みたいだな

・どうやってつくったんだろう。つくってみたいなぁ。

というのが造形的な見方・考え方です

 

「きれいだな」「気持ちいいなぁ」というのは感性を働かせながら価値をつくりだしています。

(※その子にとっての「きれい、」や「気持ちいい」は、誰かに言われてそう思った、ということではないので、その子にとって価値をつくりだしている、ということになります。ご理解いただけます?)

「雪みたいだな」というのは自分のイメージをもって、意味をつくりだしていることになるでしょう。

そしてこの時、「形」「手にフィットする感じ」「模様」という「形や色などの造形的な視点で捉え」ています。

(※形や色など、の「など」には触り心地といった触覚的なものも含まれます)。

 

こんな視点でものごとや世界、自然を見ていきながら「資質・能力」を育成するのが、図画工作の学習ということです。

「図画工作をはじめよう」=造形的な見方・考え方を働かせましょうね

教科書の「図画工作をはじめよう」のタイトルの下には、例えば5・6下では左のように書かれています。

 

これが「造形的な見方・考え方」を働かせましょうね、ということをもんのすごく短くまとめたものです。

 

あと、この左のページに(折り込みになっているのでp.4が付いているのです)以下のような文章が書かれています。

 

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わたしたちは、みることや表すことを通して、

さまざまな伝統や文化、それらをうみだした

人々への思いにふれることができる。

未来について、想像することができる。

 

自分の体と心をいっぱい働かせながら

見たり、表したりしよう。

そして新しい自分や、新しい世界を、

つくりだしていこう。

ーーーーーーーー

 

こんな感じで、教科書が始まります。

 

ちょっと長くなりすぎましたので今日はこの辺で。

(これはオリエンテーションの説明だけで長くなりそうですな)。

 

第二回はこちらから