このコーナーでは、令和2年4月から使用されている日本文教出版の「図画工作」の教科書について
できる限り分かりやすく紹介していこうと思います。
第3回は「図画工作をはじめよう」その3です。
活動の後で考えよう その前に
前回は、「学習のめあて」と「資質・能力」についてお話ししましたが、「学びに向かう力、人間性等」についてはお話しできておりませんでした。
というのも「学びに向かう力、人間性等」というのは二つの側面があるからです。
簡単に言うと評価の仕方の違いです。
これまでお伝えしてきた「資質・能力」ですが、授業の中で育成を目指す以上、育成できたかどうかを「評価」する必要がああります。評価については詳細を改めてお伝えしますが、なんとなくわかりますよね。逆に言うと評価しないと、その子の「資質・能力」が育成できたのかどうかわからないまま、ということになります。
でも「学びに向かう力、人間性等」って、評価できますかね…。
図画工作での「学びに向かう力、人間性等」は以下のような文言で示されています。
つくりだす喜びを味わうとともに、感性を育み、楽しく豊かな生活を創造しようとする態度を養い、豊かな情操を培う。
このうち、最初の部分「つくりだす喜びを味わう」は態度に関わるものとして定義されています。
「態度」を評価するのもまだ難しそうですが、この「態度」は、粘り強く学習に取り組もうとしているかどうかといったことだと示されています。そうすることでなんとなく授業の中の子どもの様子として見取ることができそうです…。
この側面を「主体的に学習に取り組む態度」と呼びます。
「感性を育み~豊かな情操を培う」はさすがに授業中に見取ることは難しい。
なぜなら内面の育ちですし、長期的に変化していくものだからです。
こちらも一応「評価」はするのですが、「〇〇さんは、こうこうこういう感じでしたね」というような記述で評価することになります。
というわけで、「学びに向かう力、人間性等」には二つの側面があることが分かりました。
楽しいときは主体的になっている
というわけで、「学習のめあて」の3つ目「活動の中で、楽しんですること」というのは、正確には「学びに向かう力、人間性等」と対応しています。
楽しむ、というと学習っぽくないでしょうか?
でも人間が活動を楽しんでいるときって、主体的になると思いません?
もちろん楽しむ=笑っているとは限りません。
真剣な表情で楽しむこともあると思います。
でも、楽しくないときは、主体的にはなれないものです。
特に造形活動の場合は。
「感性を育み~豊かな情操を培う」はどうなっているの?
では、「主体的に学習に取り組む態度」じゃない部分はどうなっているのか?
答えは「活動の後で考えてみよう」にあります。
見覚えのあるマーク。上の「活動の中で、楽しんですること」のマークに似ていますが光っていて、活動の中での成長を示しています。
これは、学習活動を終えたあとその学習の中で
「どんなことを感じたのか」
「どんなことを考えたのか」
「どんなことに気付いたのか」
といったことについて考えることを促すものです。
実際の題材ページでは
「アイデア次第で、みんなを楽しませることができるんだね」
「いろいろな見方をすると、一つのものでもさまざまな見え方がして、おもしろかったよ」
のように子どもの言葉で示しています。
子どもたちが自分で考えることで、その成長を自覚するということを期待したものです。
まとめ
これまで見てきたように、「図画工作をはじめよう」のページでは、図画工作での「学習のめあて」がこういうものである、ということが端的に示されています。
ですので子どもたちと先生は、最初にこのページを見ながら「図画工作の学習はこういうことをめあてにしますよ」とうことを確認しながら、実際の学習に入っていける、というわけです。
「活動の後で考えてみよう」もそうです。ここで確認しておいて、それぞれの活動の後で「ここにはこう書いてあるけど、みんなはどう思った?」と投げかけることで、子どもたちは自分の内的な学びや成長を考えるきっかけになります。
このように日文の教科書の「図画工作をはじめよう」を見ることで、図画工作で何を学ぶのか、が分かる仕組みになっています。
でもそれだけではありません。このページには「どのように学ぶか」ということも示されているのです。
それは、また次回。
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