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第二十四回 「自然にあるものをいろいろな絵の具にしてかけることはびっくり」

(左から (2) (1) (3) の順に表したもの)

 

材料・用具

児童: 筆、タオル

 

教師: 胡粉、木炭(ぼかし網で粉にしておく。)、弁柄、砂鉄、化粧土(数種)、陶土、砥の粉、古び粉等、洗濯糊(PVA)、厚手の和紙(小さめのサイズに切っておく。)、容器、ガラス瓶

弁柄:酸化鉄。赤色原料や研磨剤として使われる。

化粧土:陶磁器をつくる際に装飾として使う土。

砥の粉:砥石などからでる粉。木材に空いた穴や金継ぎなどに使用する。

古び粉:彫刻などをアンティーク調に仕上げるもの。炭素の微粒子。

 

「水・木・金・土の絵の具」という4年生の題材です。

様々な自然の材料を絵の具にして、簡単にぬったりかいたりして材料のよさや面白さなどを感じ取る鑑賞の活動です。

 

 

水木金土の絵の具

 

 4年生の子どもたちは、3年生の時に、身近な土を採取して鑑賞する「大地のおくりもの」の活動を行っています。その経験を生かし、新たに出会う自然の材料のよさや面白さなどを感じ取ってほしいと願い、この題材を考えました。

 

 私は、ガラス瓶に詰めた材料を目の前にして、「水木金土の絵の具って何でしょう。」と子どもたちに尋ねました。子どもたちは「曜日!」「星!」などと発言します。ある子どもが「そうじゃなくて……。水のもの。木のもの、金? のもの、土のものかな。」とゆっくりかみしめるように言い当ててくれました。私は「そう! 水は海の生き物、貝殻からつくった胡粉。木は枝を焼いて作った木炭。金は金属、地球の真ん中にある砂鉄。土は使い道がいろいろな土。みんな自然にあるものです。」と伝え、この材料を絵の具にして、よさや面白さの感じを味わっていくことを提案しました。

 


 

材料にひたる 

 

 Kさんは最初に、砥の粉をとり、水糊を少しずつ足して筆で混ぜていきます。水糊を足し続けてできた絵の具を、和紙に伸ばすと、薄く透き通るような色が広がりました。和紙がしっとりとするほど何度も薄い色をぬり重ねています。

 Kさんは「ものたりないな」とつぶやき、砥の粉に木炭をほんの少し混ぜて、上からちょんちょんと筆を運んで、それがにじむと「よしっ。明るくにぎやかになった。」と言って1枚目を終えました。(1)

 

 次は、赤みを帯びた化粧土と赤陶土が「きれいだな」と感じ、容器に取ります。水糊は少な目にして溶いています。赤陶土を画面の半分に塗った後、その上から化粧土をとんとんと軽くたたくように、重ねました。画面の下の方には、砂鉄と胡粉で勢いよく線を引いています。(2)

 

 最後に、弁柄と木炭をたっぷり取りました。まず弁柄を水糊でとろとろに溶き、ゆっくりと塗り重ねていきます。同様に木炭を塗り、画面の半分を弁柄と木炭を混ぜ、和紙がずっしりと重くなるまで厚く塗っていきました。Kさんは、「あやしげな感じ」とつぶやき、活動を終えました。(3)

 

 Kさんは、活動の間、何度も「きれいだなあ。」「気持ちがいいな」と口にしながら、それは心地よさそうに色を塗ったり、時には手指を使ったりして、全身で材料に浸っていました。私は、Kさんの水糊の調合の仕方がそれぞれに少しずつ違っていることに、とても驚かされました。そして、和紙の余白の残し方にも、惹きつけられてなりませんでした。

 

 

活動の後に

 

 Kさんは、この活動を以下のように振り返っています。

 

「水・木・金・土の絵の具」は、水のりをころっとはじく、すーっとまざる、種類によってのりのまざり具合がちがう。

水のりで調節するのが面白い。

 

自然にあるものをいろいろな絵の具にしてかけることはびっくり。

 

図工は、「こうしなさい」ではなくて、自由にできる。自分で決められる。

今日の材料でどんなことが出来るか考えられる。

自分のつくりたいもの、自分の世界がつくれる。

 

だから楽しい。

 


台紙26×60㎝ 4年生 Kさん
台紙26×60㎝ 4年生 Kさん

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コメント: 1
  • #1

    hana (水曜日, 08 6月 2022 18:50)

    学校生活も世の中も何かと制約が多い今、Kさんにとって、図工の時間は自分の感性を最大限に発揮し、自分を解放できる時間なのですね。図工は材料の準備がとても大変だと常々思っています。が、こういう作品と振り返りの言葉を寄せてくれると、こちらの心にも響きます。Kさん、これからもどんどん自分の世界を創ってくださいね。素敵な授業と作品を紹介してくださりありがとうございます。