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第六十九回 渋谷ですよ

この作品は、3年生が「おって きって くみあわせて」という授業で表したものです。教科書の「おって、たてたら」(日本文教出版 教科書1・2年上p.22-23)の経験を生かし、紙を折って切って生まれた形から思い付いたことを工作に表す活動です。


 

 

「紙を折る、切る、折り込む……」

 

子どもたちに、色画用紙を折る、切り込みを入れる、折り込み、飛び出す仕組み、周りをすきな形に切って立たせる、他の形と組み合わせるなどを簡単に演示して見せ、いろいろためしながら表したいことを見付けていくことを提案しました。

 

 

 「組み合わせて広がるMさんの世界」

 

 最初にMさんは、紫色の紙を縦長に折り、真ん中から等間隔に長さを少しずつ変えてはさみで切り込みを入れました。それを交互に折り込み、直角に飛び出す形にしました。左右対称に広がっていく紫の形を青い紙の上にのせ、しばらくどうしようかと考えると、「ヒカリエだ」(※)とつぶやきました。次に黒い紙を二つに折り、ゆるやかな曲線で切っていきます。それを紫の紙の反対側に置き、ふっくらと盛り上げて貼りました。

 

 そこからMさんの手は止まることなく、つくりつつある作品に顔をうずめるようにして表すことに没頭していきました。時々遠くから見たり、別の方向から中をのぞき込んだりしています。どんどん手掛けていくと、直線や曲面の美しい建物の構造のように私には見えてきました。

 

Mさんは紙の形や色の面白さを感じながら、自分の思いを実現しようと細部にもこだわって工夫を重ねてつくり込んでいます。さらにMさんは1cm四方の細長い角柱をつくり、カラーペンで赤と青の線をかき、ミラーペーパーの上にのせました。他にもポスターカラーの金や銀で線の線、カラフルな点々を散りばめ、最後に大きく「渋谷」とかいた紙を作品に貼り、2時間かけて完成させました。その時のMさんの表情から、やりきったことへのとても誇らしい清々しい思いが伝わってきて、私は嬉しくてなりませんでした。

(※)渋谷ヒカリエ:JR渋谷駅にある地下鉄等各路線が集まる、地下4階から地上34階の商業複合施設

 

 

「渋谷ですよ」

  

 Mさんは作品に「渋谷ですよ」というタイトルを付けました。Mさんは作品についてとても楽しそうに話してくれました。没頭してつくっていたMさんの中に広がる世界は、私の想像をはるかに超えたものでした。

紫の紙を青い紙の上においた時、「ヒカリエだ!」と思いました。

黒い紙は「JR湘南新宿ライン」方面、真ん中の地下鉄は「田園都市線目黒線」、

ミラーペーパーをはって、線路の鉄と明るさのかんじにしました。

さいしょにつくった紫の紙は、JRの線路から直接下りられる、人の通路です。

はじっこを黒い紙でふさいであるのは、トンネルの入り口です。

だんだん真っ暗になっていくというイメージを表しています。

金のポスカでかいたのは、さらに地下へおりていく階段です。

「東急東横線」の「人へ、街へ、未来へ」ということば(キャッチコピー)から、

川が流れるイメージがしたので、青い土台に点々の色をつけて川を表しました。

「渋谷」はぱっと見てすごくわかりにくいです。

だから「渋谷ですよ」とわかるようにつくりました。


《渋谷ですよ》(17×19×11cm) 3生生 Mさん
《渋谷ですよ》(17×19×11cm) 3生生 Mさん

材料・用具

教師:色画用紙(A4、B5版程度に切っておく)、ミラーペーパー、カラーサインペン、ポスターカラー等

児童:はさみ、のり、セロハンテープ等