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第七十一回 複雑な鍵穴

 この作品は6年生が「心のマド」で表したものです。水彩絵の具で思いのままに表しながら、思い付いたことを絵に表すとともに、小さなまど枠の中に作品をおさめていくことを通して、形や色などのよさや美しさを感じ取る鑑賞の活動です。


 

 

「思いのままにかく」

 

子どもたちに、これまでの絵の具の経験を生かして、いろいろためしながら思い付いたことを絵に表し、最後はまどの中におさめることを提案しました。

小さめに切っておいた基底材も、子どもたちがこれまで3年生から経験してきたものを数種類用意しました。いずれも肌触りや吸水性が少しずつ異なる紙です。子どもたちはすきな紙を選び、どんどん表し始めます。小さな紙に何枚も表すことには、気楽に取り掛かれるよさがあります。

最初にОさんは、パレットで少しずつ混色した色で筆を躍らせるようにして線をかくと、さらに色合いを変えて同じように表していきます。筆先ですっと細い線にしたり、筆圧をかけて太い線にしたりして様々な筆運びを楽しんでいるかのようです。次は水を多く加えた色をにじませていきます。

そして大きめの紙を持ってくると、筆に残っていた紫と黒を混ぜてはっきりとした強い線をかきました。その上から波段ボールを丸めて同じ色で型押しもようをつけるなど、あっという間に十数枚をかきあげました。

 

 

生まれてくる形や色のよさ

 

 次の週はカッターナイフを使い、すきな形のまどを切り抜いていきます。子どもたちは厚さ3mmのスチレンボードを、結構な手ごたえを感じながら切っていきます。

 Оさんは直線や曲線を組み合わせた窓の形を一気に切り抜きました。そして前時までに表した作品を一つ一つ手に取り、まどの後ろから当てて見ています。作品をずらしたり、向きを変えたりしています。きっと、Оさんが一番いいなと感じる所を探しているのでしょう。とても時間をかけてじっくりとまどごしの作品を見ています。

 全てのまどに作品がおさまると、Оさんはさらに身近にある材料(ビーズや紙モール、間伐材シート、ミラーペーパー、マッチ棒など)を使って作品の上にコラージュして、作品を完成させました。

 

 

「複雑な鍵穴」 

  

 Оさんは「複雑な鍵穴」というタイトルを作品に付けました。

 以下は作品についてОさんが話してくれたことです。

 

 絵の具でかいている時には、あまり深くは考えずに形や色の感じを楽しんだ。

 まどを切り抜いて作品を見ているところから、タイトルを考えつつ、でもあいまいで、見続けた。

 作品の中にあるもように歯車のように感じる形があった。波段ボールのもようは、鍵の中はこうなっていそう、と思った。マッチ棒を切って鍵をつくって貼った。

 

 さらにタイトルに添えられたコメントを読んで、Оさんの中でゆっくりと自分の考えが立ち上がってきたその先に、あらためて心から感心しました。

 

 鍵穴に鍵をさして回す。

 扉が開くと向こうにはいろんな景色が見えてくる。

 でも鍵穴の中は見ることができず、複雑になっている。

 人の気持ちにつながっている。

《複雑な鍵穴》(36.3×25.7cm) 6生生 Оさん
《複雑な鍵穴》(36.3×25.7cm) 6生生 Оさん

材料・用具

児童:水彩絵の具

教師:画用紙(M画紙、ブレダン紙、厚手の和紙をそれぞれ小さめの正方形や長方形、不定形に切っておく。)、刷毛、スチレンボード(両面白紙コーティング)、カッターナイフ、カッターマット、セロハンテープ等