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第七十二回 太陽のまわりを公転

 この作品は5年生の「心のもよう」(日本文教出版 図画工作5・6上 p.14-15)で表したものです。

 絵の具や用具に働きかけながら、生まれてくる形や色に自分の気持ちを見つけたり、今の自分の気持ちを考えたりして絵に表す活動です。

 


 

 

「色にひたる」

 

子どもたちには、水彩絵の具絵を使って今の気持ちを大事にして色を選び、思いのままに表す心地よさを味わいながら、そこに自分の気持ちや心の在りようを見つめて絵に表すことを提案しました。

小さな紙に色をぬったり重ねたりを繰り返し、これまでの経験も生かしながら、じっくりと水彩絵の具を楽しむことを伝えました。

色に身を任せ、心がほどかれていくように表して生まれる形や色には、自分の心の在りようが現れてくると考えています。子どもたちには色にひたる時間を大切にしてほしいといつも願っています。

 

 

Yさんの心のもよう

 

 Yさんは、最初に水で湿らせた紙に温かみのある色合いで、筆先を使って点々と色を置いたり、はじかせたりしていきます。少しずつ色を変えながらも暖色を集めて色を重ねていきました(①)。

 2枚目も暖色で濃淡を付けながら絵の具を重ねると、一番上は濃い藍色の一筋をかき、夕焼け空を表しているのでしょうか(②)。そして最後に藍色、白、黒や水を調整して寒色で空を表し(③)、Yさんは、2時間かけて3枚をかきました。

 

 次の週は、基底材となる大きな画用紙に組み合わせていきます。Yさんは前週に表した3枚をどう置くか考え、画面の3辺(①②③)に決めました。すると、再び小さな紙にかき始めます。紙の中心に地球をかき(画面の中央)、周りを黄色でぬりました。この1枚をかくとすぐに、Yさんは「つなげてかいていっていいですか。」と尋ねてきたので、私は大きく頷いて「自分の考える方法で表してください。」と伝えました。

 地球を囲む黄色が、さらに大きな円になるように小さな紙をまわりに広げていきながら、円の外側には鮮やかな赤で、うねるような曲線がかかれました。

 この赤を見た時、私ははっとしました。なぜYさんが黄色でぬったのかと想像を巡らせていましたが、もしかしたら月なのかもしれない!と思いました。

 Yさんは基底材の左側の余白には、暖色の絵の具をいくつも置いてタオルや刷毛で上からたたくようにして広げていきます。右側の余白には、寒色で濃淡をつけて表し、左右が対象になるようにまとめました。そして最後に黄色の部分には小さな小さな人間をぐるっと地球を囲むようにかき、作品を完成させました。ほんの数ミリでかかれたその人々の手の形がどれも異なり、これはYさん自身なのか、それとも多くの人々なのか、私はさらに楽しく想像して作品に見入りました。

 

 

「太陽のまわりを公転」

  

 Yさんは作品に「太陽のまわりを公転」というタイトルをつけました。以下は作品についてYさんが話してくれた内容です。

地球は自転します。

自分を中心にまわります。

朝、昼、夜という時間があります。

太陽のまわりを公転します。

いろいろな季節があります。

わたしは自分だけで動いているようだけど、

実は太陽のあたたかさや光、人々のあたたかさ、

たくさんのものに生かされているという意味をこめてかきました。

《太陽のまわりを公転》(四つ切) 5生生 Yさん
《太陽のまわりを公転》(四つ切) 5生生 Yさん

材料・用具

児童:水彩絵の具一式、ハサミ

教師:11センチ四方の正方形に切っておいた画用紙、基底材となる画用紙(四つ切)、刷毛、ブラシ、接着剤等[

 

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