放課後の学校クラブ。前回までの準備の様子はこちらから
臨機応変に
子どもたちが「もうひとつの学校」をつくることを目指して活動を行う《放課後の学校クラブ》。次のテーマが決まったものの、1月から3月にかけてまん延防止等重点措置が発令されていたため、なかなか思うように準備も進まず。ここは焦らず時機を見てということで、オンラインも併用しながら活動を継続していった。
部員の通う「いつもの学校」も再び遠隔授業に移行したとのことで、端末の操作はすっかりお手のもの。画面に写真を映しながら前回の活動をふりかえり、それぞれのプランを共有しながら家にあるものでできることを進めていく。
とある部員からは、割り箸で鉄砲をつくりたいという相談があった。さっそく別のメンバーが「こうすればいいんだよ」と見せてくれたが、画面越しだとなかなか伝わりにくい。今度直接会った時にみんなでつくることになったようだ。
先生も一緒に
なかなか感染が落ち着く気配もないが、状況を見ながら少しずつ再開へと向かっていった。最近では子どもたちが先生に声をかける機会も増え、2月末に久しぶりに対面で活動した際には、休日にもかかわらず先生が顔を出してくださった。前回、割り箸鉄砲をつくろうとしていた4年生部員の担任の先生だ。
時折チラシが配布され、「子どもたちが何やら活動をしているらしい」ということは知っているものの、いわゆる子ども会でも学童保育でも少年団でもなく、その正体がつかみにくい《放課後の学校クラブ》。実際に現場を共有しながらお話しできる機会はとても貴重だ。この日は先生も巻き込まれて割り箸鉄砲づくりに取り組んでいた。
カッターナイフで切込みを入れたり、長さを調節したり、試行錯誤を重ねながらつくっていく。割り箸がきれいに割れるかどうかもポイントらしい。製作を続けていくと「ここに穴をあけたいんだけどどうしよう」といった相談も持ちかけられる。あいにくキリのような工具は備えていないため、すぐには準備できないが、こうしてやりたいこととできることの幅が広がっていく。
帰り際に先生と立ち話をした時に「図工の時間がこういうふうになっていてもいいんですね」といったコメントがあった。いつもの教室とは少し違う子どもたちの姿が見られたのかもしれない。
学校の「七不思議」を探る
こうして「妖界~あやかしの世界(まち)へようこそ」と題した「もうひとつの学校」の準備が進んでいった。先ほどの割り箸鉄砲チームは、射的の要領でおばけを倒すゲームになる予定。また別のチームは「学校の七不思議」をテーマにした授業をつくろうと張り切っている。
ところで、皆さんが卒業された学校には「七不思議」はあっただろうか。ちなみに、筆者が通っていた小学校には「息を吸ってはいけない渡り廊下」があった。うろ覚えだが、その廊下には「モナリザ」の複製画が飾ってあったような記憶がある。どうやら部員の通う学校にも過去の偉人にまつわる不思議なスポットがあるとのこと。
話を聞けば、音楽室に「ベートーヴェン」という名札はあるものの、そこにあるはずの肖像画がないらしい。これはあやしい予感。「こんな感じかな」と話しながら想像上のベートーヴェンをつくっていく。白とグレーを混ぜた綿で表現した髪がいい具合に仕上がっていた。その名も「笑うベートーベン」。とは言え、まだ「七不思議」は揃っていないので、みんなにも不思議を探してもらう授業になった。
時間割を決める
各自の準備と並行して今後のスケジュールについても話し合う。新入生にもたくさん参加してもらえるように、本番は5月8日(日)に開催することになった。前回の反省点としてお互いの「授業」に参加できなかったことを踏まえ、今回は予め時間割を決めておくことにした。
その結果、1時間目は「おばけをたおすゲーム」と「おばけのお手紙きょうしつ」、2時間目は「おみくじおんせん」、3時間目は「学校の七不思議」と「妖怪研究部」、4時間目は「うらないまきもの屋」に決まった。こんな時間割表が年度はじめに配られたらワクワクするであろう「授業」が盛りだくさん。
さらにこれまで手薄だった広報活動にも力を入れるべく、1か月前からチラシを用意。次の活動日にはまちにも配りに行く予定だ。学校内にもみんなでつくった大きなポスターを掲示した。学年が一つ上がってパワーアップした子どもたちの活躍に大いに期待したい。
放課後の学校クラブ「妖界~あやかしの世界(まち)へようこそ~」
日時 2022年5月8日(日)14:00~16:00
場所 水戸市立浜田小学校コミュニティルーム
※どなたでもご入学いただけます。ご参加を希望される場合は、予め市川までご連絡いただければ幸いです。
メールアドレス:ichikawa.hiroya@gunma-u.ac.jp
気まぐれ読書案内
怪異怪談研究会(監修)『怪異と遊ぶ』青弓社、2022年
文学、民俗学、社会学、宗教学など、多岐にわたる分野の研究者が「怪異」と「遊び」について真面目に論じた研究書。キューピッドさん(皆さんも試したことがあるかもしれません)や「意味が分かると怖い話」(皆さんもインターネットなどで読んだことがあるかもしれません)など、身近なテーマから怪異研究の世界が広がります。ちなみに、筆者も地域社会と妖怪文化との関係にスポットを当てて「怪異に学び戯れる人々」と題した論考を寄せました。
こちらからもご購入できます。
コメントをお書きください