協力して会場づくり
今回も、前回に引き続き2025年の《放課後の学校クラブ》のふりかえり。新しいメンバーも参加しながら準備を進めてきた「秋のほうかごフェスティバル」の本番編である。秋も深まる11月29日、午前中にぱらぱらと集まってきた部員たちは、各々に会場を設えていく。
「さんままつり」を担当する6年生部員は、黒板に祭りのルールをさらさらと記していた。「1 さんまを愛すること」「2 好きな魚は? と聞かれたらさんまとかならず答えること」「3 村長を食べてはならない」とのことである。ちなみに、村長の名前は三間三次郎、905歳。
「水の流るるろうか」を担当する2年生部員は、教室のまんなかに段ボールでつくったろうかを敷いていく。そのすぐとなりには泉をイメージした箱を置き、水彩絵の具を大胆に使って側面を塗っていく。なかなかにいい色合いだ。本人曰く、ここに水を満たしたいとのことだが、このままだと水が漏れて本当の「水の流るる教室」になってしまう。そこで、大きめのビニール袋を入れて解決することに。
元気な4年生部員による「うさぎめつまつり」チームでは、昇降口にビニールひもで蜘蛛の巣のようなトラップを仕掛けていく。ここをくぐりぬけて入り口に誘導する段取りだ。会場の中には「きれいなけしき」と銘打ったブースも設置していた。こうして少しずつフェスティバルの全貌が見えてきた。
新入部員として素敵な絵をたくさんかいていた部員はお休みだったため、代わりに「きみちゃん美術館」と名づけて作品を展示。鮮やかな動物たちが来場者を出迎える。「おばけすいどう」を頑張っていたメンバーも残念ながらこの日はお休み。お披露目は次の機会に向けて温存しておくことにした。
にぎわいはいかに
ちなみに、今回の発表会は土曜日の開催。この日は同じフロアで「学童保育(放課後児童クラブ)」も行われていたため、午前中のうちに広報(およびお騒がせの事前告知)も兼ねてご挨拶に伺った。ろうかに大きなポスターも貼っていたため、既に「秋のほうかごフェスティバル」についてご存じのようで「さんまを焼くんですか?」との質問も。「さんまは焼かないようです……」とお伝えしつつ、フェスティバルに足を運んでいただけることになった。
お昼をはさんで午後2時の少し前には数名の入学希望者が訪れていた。約1年前に開催した「夜空のおばけ動物学校」では予想外の大行列に大混乱だったが、今回はほどよくゆとりのあるスタートとなりそうだ。「かぼちゃのいけ」を担当する1年生部員は同級生が来てくれたと嬉しそう。開場まで少し時間はあったものの、手を引っ張ってさっそく部員の仲間入り。
こうしていつの間にやら「秋のほうかごフェスティバル」が幕を開けた。特に「時間割り」を定めていなかったため、入学した「生徒」は各々の興味の赴くままに会場をうろうろ。午後2時を少しまわった頃に「学童保育」のメンバーも10名程度合流。一気に会場は祭りのにぎわい。
「さんままつり」のとなりでは、6年生部員が「どんぐりの入学式」と「宿題は白線を引く」を同時開催。「どんぐりの入学式」では予め用意しておいたどんぐりに装飾をしながら背景を選んで記念撮影するプログラムである。準備段階から部員同士で盛り上がっていた「宿題は白線を引く」では、画用紙にマスキングテープを貼った上から思い思いに着色し、テープをはがしたら白線のできあがり。これを模造紙に貼りながらそれぞれの白線をつないでいく。「どうやって貼りたい」と確認しながら進めていく様子も「先生」らしい。大人も感心の出来栄えである。
「宿題は白線を引く」
「先生」と「生徒」の垣根を超えて
こうして6年生部員が「授業」らしいプログラムを展開する一方で、「先生」と「生徒」の役割が曖昧になっていく状況も《放課後の学校クラブ》の醍醐味である。2年生部員による「水の流るるろうか」では、まず透明な卵のパックを渡される。これを通して段ボールにかかれた水の流れを眺めると、水中にいるように見えるらしい。試してみると、確かにそう見えなくもない。偶然から生まれた小さな発見である。
「水の流るるろうか」
このろうかを通って水源に辿り着くと、深い泉をのぞきながら、ぷよぷよとした小さなボールをすくっていくという謎多きプログラム。とは言え、そこに意味を見いだそうとするのはナンセンス。ちなみに、このぷよぷよとした小さなボールは、高吸水性樹脂によってつくられたジェルビーズである。何かのきっかけで《放課後の学校クラブ》の準備室に置くことになったのだが、ことあるごとに子ども部員の興味関心を惹きつけてきた。ものとしての面白さが優先されて、本当にこれを使う必然性があるのだろうか、と思うことも少なくないが、いつもその行く末を見守っている魔性のアイテムの一つである。
今回も、「部員(先生)」と「生徒」が一緒になってこのジェルビーズを集める様子が見られた。そんな中、「かぼちゃのいけ」を担当する1年生部員の同級生が新たなプログラムを即興で開発することになる。もちまきのようにジェルビーズをまいてそれを拾い集めるという、単純ながら盛り上がる「遊び」である。「これは掃除が大変だ……」と心の中で思いつつ、「生徒」と「先生」の役割が反転する場面を興味深く眺めていた。
3年生部員が一人で担当する「マロンほうそうしつ」は、朝・昼・夕のニュースの原稿を用意しておき、「生徒」に読んでもらう参加型のプログラムである。「台風128号が迫ってきています。群馬県は栗が大量に降るので、家の中で安全に栗を食べてください」など、群馬からやってきた大学生との共同制作の痕跡も。
子どもたちに紛れて、保護者の皆さんも「授業」を体験。特に、新しく参加した部員にとっては、《放課後の学校クラブ》とは何かを体感する機会でもある(なっていないかもしれないが……)。自分たちの考えた内容を伝えられるかどうかも重要な観点となる。ちなみに、この日は校長先生も見学にお越しいただいた。「これもやってみますか?」と緊張気味の子ども部員。
ほどよいにぎわいのまま、時刻はもう少しで午後4時。この日、最初に入学した1年生の「生徒」は、保護者と一緒にほぼ2時間まるまるフェスティバルを堪能していた。少なくともこの「生徒」にとっては、あきのこない充実した時間であったことが想像される。新しいメンバーを迎えての初めての発表会。こうして経験を積み重ねながら「もうひとつの学校」をつくる方法が受け継がれていく。























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